2018.09.09
『聴竹居』(ちょうちくきょ)・・・て聞かれたことはありますか?
今日早起きして、京都は山崎にある有名な日本建築物を見学してきました。
私も「パッシブデザイン」というものを勉強するようになって初めて知り、少し前から行きたかったところです。
建築関係の人たちには有名な建物で、予約なしに入ることはできません。
聴竹居は昭和3年・・・ということは約90年前に、「藤井厚二」という建築家によって建てられた重要文化財で、「日本の近代建築20選」にも入っている建物です。メディアにあまり取り上げられてなく、小学4年生以下は入館禁止、中の写真も撮影禁止・・・ということなどで、あまり一般に知られていないようです。
行ってみて・・・とても楽しく勉強になることがいっぱいありました。少し詳しく述べたいと思います。興味のある方はお読みください。(^^)
◆ 山崎という場所に初めて行きました
山崎は、北は天王山に囲まれ、南は三川合流の地で、その狭い間に、JR、阪急、新幹線、名神高速、国道が走っているところで、近くには「サントリー山崎蒸留所」や「大山崎美術館」などがあって、小じんまりした街ですが、文化的な香りがするとても魅力的な街でした。気候は夏は湿度が高く、半端なく暑いところだそうです。
聴竹居は、山崎駅から歩いて踏切を渡り、坂道を登るとすぐにありました。ボランティアの女性が入口の掃除をしておられました。中に招き入れてもらい、受付を済まし、予約の9時を待ちました。そのうち少しずつ人が集まり10名に・・・そしてちょうど9時から説明・案内が始まりました。
案内をしてくださったのは、「聴竹居倶楽部」というボランティア会の一員さん。後で聞いたのですが、地元の住民で、仕事は・・・「マンションのことなら・・・」で有名な大手ディベロッパーの設計部におられるのだとか・・・マンションを伴う街の開発にも、この聴竹居の考えを反映されているのだそうです。
約1時間半の見学の間、このボランティアさんが懇切丁寧に説明をしてくださいました。おかげさまで、聴竹居の細やかなしつらえや藤井厚二さんの考えまで多くの知識を与えてくださいました。本当に感謝です。(^^)
◆ 自然エネルギーを活かした90年前のパッシブ住宅・・・様々な工夫に感心
藤井厚二さんという建築家は、日本で初めて「環境共生住宅」の考えを取り入れた建築家だそうです。つまり、90年も前に風や光を活かした設計計画を立てて実践したそうです。また、当時は西洋の文化が急に入ってきた時期で、古来の日本建築の良さが忘れられてしまっていることに危惧を感じた藤井厚二が日本にふさわしい「洋風と和風そしてモダンを統合したデザイン」・・・和洋折衷の建物を目指した建物だそうです。
実際に、今日は結構蒸し暑かったのですが、建物の中に入っていると不思議と涼しく感じました。それもそのはず・・・この聴竹居は夏の暑さや湿気対策に最も力を注いだ建物なのです。
「はねぎ」というお寺の屋根で使う手法を用いて、庇を大きく跳ね出し夏の日射を部屋に入れない工夫をしたり・・・
地窓という部屋の足元の窓から風を入れ、各部屋の間仕切戸の欄間から空気を巡回させる工夫をしたり・・・
淀川から上がってくる西風を利用して、地中に風の通り道をつくり、その空気を和室の小上がりの引き戸から部屋に取り込む工夫をしたり・・・
天井に5枚の和紙を貼り合わせ、湿気を吸い取る工夫をしたり・・・
今の世の中でも感心するような仕組みが、90年前の家で実現されていたのです。
◆ デザインにも徹底的なこだわりが・・・
このように様々な工夫をされた聴竹居ですが、こらは藤井厚二さんご家族が実際に住まれていた実験住宅だったそうです。この建物は一見それほど豪華には見えませんが、いたるところにこだわりの材木や照明器具や・・・もっと言えば巨大なスイス製の冷蔵庫があったり、当時の住宅では考えられないような配電盤があったりと・・・この建物には妥協しないほどお金が掛けられています。
実は藤井厚二さんは超お金持ちだったそうで、広島の豪商の次男であり、この山崎界隈の山林1万2千坪を買い占めて、次々に建築の実験をされていたようです。
リビングやサンルームに貼られている、「6mの無節柾目の松フローリング」や、天井のアクセントに使われている「1枚ものの松板」は材木屋出身の私から見ても感動ものでした。
その他言い出すときりが無いですが、
洋室と和室の段差が、お互いに椅子と畳に座った時に、目線が合う高さに計算されていたり・・・
サンルームにお客様が座ると、建具のガラスが上下擦りガラスになっていて、真ん中の美しい庭の風景だけが見えるように計算されていたり・・・
部屋の広さによって、造り付けの照明器具の大きさを変えて、部屋の小ささを感じないような計算がなされていたり・・・
書き出すときりがありません。
このような発想やデザインやしつらえが、90年前に実現されていたと言うことに本当に驚きます。
藤井厚二さんの「頭の柔らかさ」には脱帽です。見習わなければ・・・(笑)
とにかく、建物といい・・・ボランティアさんの説明といい・・・大満足の見学でした。
また秋や冬といった違った季節にも是非行ってみたいと思います。
長々と書きましたが、お読みいただいてありがとうございました。
昔の建築に興味のある方は、是非予約して行った見てください。何故か気持ちがホッとしたり・・・忘れていた暮らしで大切なことを思い出させてくれたり・・・そんな居心地のいい場所だと思いました。(^^)
建物内部の写真を載せられないのが残念です。
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明日も素敵な一日が皆様に訪れますように!